2.研究計画と研究方法
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研究計画・方法(概要)
一次目的を遂行するための課題(研究課題1aと研究課題1b)と二次目的を遂行するための課題(研究課題2)を設定している。申請者はこれまで二度の科学研究費研究(後述2の(3)参照。以下「フェノロサ研究」と称する)によってフェノロサの哲学史講義録の一部を公開していることから、その研究との異同にも触れつつ述べる。
研究課題1a:東洋大学が所蔵する井上の哲学ノートでは『稿録』だけが公開されている。清沢より2年早く東京大学に入学した井上のノートには講義録と学習録が混在しているが、本研究ではフェノロサの講義録を含む可能性のある「古代哲学」「最近世哲学史」「英国哲学書」を翻刻・翻訳し、研究課題1b担当者との意見交換を経て、2021年3月に「東大時代の「井上円了哲学ノート」」として『井上円了センター年報』(東洋大学)に掲載する。
研究課題1b:大谷大学真宗総合研究所にはフィルム(7,000枚)化・簡易文字データ化された清沢遺稿が置かれ、そこにはフェノロサ以外にもノックスの哲学や倫理学の講義録、ブッセの哲学(古代哲学史)の講義録、授業時に配付されたレジュメ、学習録が含まれている。本研究では(「フェノロサ研究」の成果である『フェノロサ「哲学史」講義』『フェノロサ「哲学史」講義(続)』に続いて)フェノロサの哲学史講義録の残り部分を翻刻・翻訳し、研究課題1a担当者との意見交換を経て、2021年3月に『フェノロサ「哲学史」講義(続続)』として出版する。こうした井上研究との調整作業は「フェノロサ研究」にはなかったものだが、本研究の独自性として『フェノロサ「哲学史」講義(続続)』に授業形態や学習形態の資料を収録する。また並行してノックスの哲学ないし倫理学講義録とブッセの哲学講義録を翻刻・翻訳し、2020年3月に『真宗総合研究所研究紀要』(大谷大学)に掲載する。
研究課題2:さらに「フェノロサ研究」を展開し、東京大学の哲学教育が私立大学の教育にどのように継承されたのかを初期の哲学館と真宗大学における教育の確認を通じて明らかにする。より具体的には、両校の設立経緯や建学の理念、初期カリキュラムを分析し、井上と清沢がめざした宗教哲学教育と研究者養成の内実を解明する。この成果は2021年3月にそれぞれ『井上円了センター年報』と『真宗総合研究所研究紀要』に掲載する。
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